和歌山県 特別養護老人ホーム 紀成福祉会 腰痛対策プロジェクト
本当の愛情と思いやりは必ず心にとどきます。 社会福祉法人 和歌山県 特別養護老人ホーム 紀成福祉会

紀成福祉会 腰痛対策に関する取り組み


紀成福祉会では、理事会の承諾を得、この11月より福祉用リフトを導入する運びとなりました。

「いち・にのさん!」で抱える介護は、利用者・介護者双方に傷害が起こる可能性が高くなってしまいます。

「原則、持ち上げない介護」を実現するための第一歩を踏み出し始めます。

その理由の一つは、日本人の体格変化です。




「社会情勢データ図録 Honkawa Data tribune(http://www2.ttcn.ne.jp/
~honkawa/index.html)」より


図は、上記のHPより引用させて頂きました。

データは日本人の平均身長と体重を表すグラフですが、年々体格が良くなっているのが一目瞭然です。

これまでのお年寄りは比較的小柄な方が多く、抱えようと思えば何とかなってしまった部分もありますが、これからは違います。

介護を必要とされる方の体格は、間違いなく大きくなっていきます。これまでの介護方では、立ち行かなくなっていくと想定されます。

そうなる前に、欧米諸国が対応策を実施したように、介護現場にリフトを普及させていく必要があります。


「今までの習慣を変える」これは非常に根気のいる作業になると思います。

その為には、職員に対しての教育が重要になります。

紀成福祉会では、介護用リフトに関する研修に重点的に取り組みます。


実際に、職員対象に行ったアンケートの結果からは、対策に取り組む必要性が十二分に感じられました。

一部分ですが、データを紹介させて頂きます。

基本情報



腰痛の有病率・既往率

腰痛と動作遂行能力の関係性について

腰痛と介護動作の関係性について



腰痛が及ぼす二次的な悪影響について

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床走行リフト導入

平成22年11月12日、この日は当法人にとって記念すべき日となりました。

パシフィックサプライ株式会社、武田さんの全面協力のもと、「原則、持ち上げない介護」に向けての動きを開始しました。

リフト使用の為の環境整備など課題は多いですが、リフトが自然と使用されていく環境を目指していきます。


導入1カ月

平成22年12月11日(土)、導入後1カ月経過です。

武田さんに再びお越し頂き、導入1カ月後のフォローアップを行いました。

各施設によって使用頻度に違いはありますが、それぞれのペースで使用頂けているようです。

今後は、以下のようなスケジュールで動いていく予定です。


12月27日

床面で、布団からの離床を行う際のリフトの取り回しは、課題として挙げられていました。

床面に衝撃吸収用のマットを敷きつめ、その上での作業を試みる場合、マットの接合部にリフトの車輪がはまってしまい、操作性が下がってしまいます。

そのため、リフトは使用出来るが、なるべく低床のベッドが出来ないか試作をして頂きました。

床からの高さは23cmのため、手前部分には普段は衝撃吸収マットを敷き、リフト使用の際にはマットをずらします。

施設で使用しているベッド+ベッドマットの高さよりは低く出来ています。

使用しながら、感触や安全性を確かめていきます。



平成23年2月7日

リフトを使用していく中で、シートの敷き込みが課題として挙げられていました。

ご利用者によっては、車椅子上でのシートの敷き込みの際に体幹前傾が困難なケースもあります。

シートスリングは、車椅子乗車後はそのまま体幹の下に敷いたままにしておけるので、ご利用者・介助者双方の負担を軽減できます。

スリングの適応によりシーティングに悪影響(ズレなど)が生じないか評価しながら、使用を進めていきたいと考えています。


平成23年2月11日・12日

導入後3カ月経過です。

リフトの使用は各施設で順調に広がりつつあります。

今回も、武田さんにご協力頂き腰痛と姿勢についての講義・実習を行って頂きました。

リフトの使用が広がることで、介護者の負担は減りつつあります。

しかし、正しい姿勢・正しい体の使い方を知っておかないと、腰痛発生のリスクは激増してしまいます。

この勉強会は、介護者一人一人に体の使い方を学んで頂くまたとない機会となっています。


平成23年2月中旬

当法人で使用しているリフトは、前輪・後輪ともに直径約8cmと大きめです。

リフトを動かした際の抵抗をなるべく小さくしようと考えて選びました。

ただしその大きさにより、龍トピアに初期導入している低床ベッドのフレームにリフトが当ってしまい使用が困難でした。

「何とか改善出来ないか…」スタッフ間で色々試行錯誤を繰り返し、木材でハイトスペーサーを手作りする事にたどり着きました。

法人内の頼もしいスタッフのおかげで、安全面にも考慮したハイトスペーサーが完成しつつあります。

リフトが使用出来る環境を、どんどん整えていきたいと思います。



平成23年4月中旬

リフト導入から5カ月が経過しました。

継続的なフォローと教育を行っていくことにより、徐々に成果が表れ始めました。

4月12日の調査日において、9台のリフトにより、法人内で1月あたり2,000回の移乗が行われています。

各施設毎で見ても、使用時間は右肩上がりを示しています。

リフトが実際に使用されているのか、客観的なデータで数字を捉える事が出来るのは、非常に有難い限りです。

使われていない場所には、使われない理由がちゃんとあり、そういったバリアを取り除く作業を一つ一つ丁寧に積み上げた結果が、今の稼働数に表れているのでしょう。

確実に、介護負担を軽減してくれています。

持ち上げ移乗がリフトに取って代わられる事で、データ上でも良い効果が出てきました。


調査結果の一例をお見せしたいと思います。

図は龍トピアにおける介護職員の休暇について調査したものです。

赤の折れ線グラフが腰痛による欠勤者数を示してます。

また、黄色の棒グラフが、リフトの稼働時間を示しています。

リフトの使用が始まった11月以降、腰痛で欠勤される方が非常に少なくなりました。

その結果、腰痛が原因での急なシフト変更なども殆ど無くなり、全体的な負担は軽減されてきています。

その他にも様々な点で良い効果が表れてきています。

今回の調査で得られた一連のデータをまとめ、どこかで報告出来ればと考えています。


精神的に、そして体力的に余裕のない状態で、いいケアは提供出来ません。

リフトの使用で生まれた余裕を、ご利用者のケアへ。

介護職員の負担軽減は当然の事、対人援助・接遇面でのプロフェッショナルを育てていけるよう介護職の支援を続けていきます。



平成23年5月12日

リフト導入から半年が経過しました。

この日はパシフィックサプライ社の武田さんと、神戸国際大学・理学療法学科准教授の成瀬進先生がお越し下さいました。

各リフトの稼働調査と共に、職員に対してのアンケート調査が行われました。

日々リフトを利用している職員からは、新たな問題提起や解決すべき課題等が聞かれ嬉しい事です。

より良いケアを提供するために、リフトを介護技術・選択肢の一つとして取り込む。

幅が広い介護を目指して、使用環境整備や職員教育に取り組んでいます。



平成23年6月9日・10日

平成22年11月より本格的に開始された、リフト導入に伴う腰痛対策プロジェクト。

6月をもって、継続調査を一度締める形になりました。

この半年間でリフトは特別なモノから身近にある当たり前の存在となり、まるで一人の介護スタッフのように各現場で活躍しています。

3月にアンケート調査を実施した際、職員から嬉しい声が数多く聞く事ができました。


持ち上げ・抱え上げ動作をリフトが担ってくれることで、介護職員への負担は激減し、予想以上の効果を発揮してくれています。

とはいえ、腰痛の原因はこれだけではありません。

介護場面中のベッドの高さ調整や、無理な姿勢での移乗介助など、改善すべき点はまだまだ山積みです。


紀成福祉会では、第2期腰痛対策プロジェクトとしてマニュアルトランスファを取り上げます。

スラィディングボード・スラィディングシート・ターンテーブルといった移乗機器を導入し

介護従事者が、ご利用者により適した移乗方法を評価・選択していけるように支援していきます。



平成23年8月24日・25日

腰痛対策第2期のプロジェクト,今回のテーマは「マニュアルトランスファの充実」です。

導入物品については、スラィディングシート・スラィディングボード・ターンテーブル・介助用ベルト等です。

第一期に引き続き、パシフィックサプライの武田氏、西垣氏を講師にお招きしました。


例えば、立位をとれるけれども足の踏み出しが困難な方の移乗。

例えば、端座位は取れコミュニケーションも良好だが、膝の拘縮などで立位が困難な方の移乗。

例えばベッド上で、自力でお尻をしっかり持ち上げる事が出来る方の、ベッド上方への引き上げ。


こういった場面でのご利用者の可能性を広げる為に、機器を正しく使用する研修を企画しました。

写真は、美山の里での研修の様子です。

講師のお二人には、「職員に原理・原則を理解して貰う。」ことを最重点にお話し頂きました。

職員の中には、「見慣れない。」「これ、どうやって使うの??」などと不安な様子を見せる方もおられましたが、使用法・コツが分かるとスムーズに使いこなせていました。

「これ、あの人に使える!!」とか「○○さんに試してみたい。」など、様々な可能性を各々が見出されていたのが印象的でした。


介護の第一線で働かれている方には、こういった器具を使いこなすだけの能力を十分に持ち合わせておられます。

大事なのは、しっかりとその意義、用具を使う必要性を理解して貰う事。

原理原則を、如何に浸透させるかが最大の課題だと思います。


次回は、9月末に各施設で実施予定です。



平成23年10月

腰痛対策プロジェクト・第2段の続きです。

今回のターゲットは、個別浴と在宅。

個別浴は、浴槽への出入りがネックになることが多いため、浴用のリフトを追加導入しました。

使用感も良好で、操作性もよく、介護職員だけでなく、利用者にも好評です。


また在宅部門、特にデイサービスとショートステイについて。

写真1枚目は電動アシスト付の車椅子。

当法人は山間部にあり、ご利用者の送迎のために山路を往来することが珍しくありません。

中には、男性職員でないと登れない坂道などもあり、問題が数多くありました。

この車椅子は操作も簡単で、女性でも慣れれば十分に扱えます。

また、スロープについても、施設で常備をしておく事になりました。


在宅で出来る限り長く過ごして頂くために、介護負担軽減目的での施設利用は有効な手段です。

出来るだけ施設に来るためのバリアを少なくし、ご利用者・ご家族にとって来やすい・使いやすい施設を目指します。





当法人の笠原理学療法士の取組み内容が、生活情報紙「いきいきSMILE」第16号に紹介されました。

当法人のリフト導入の取組み内容が、パシフックサプライの高木様のブログに紹介されています。

当法人のリフト導入の取組み内容が、パシフックサプライ様の記事(Vol144)に紹介されています。

当法人のリフト導入の取組み内容が、パシフックサプライ様の記事(Vol145)に紹介されています。

当法人のリフト導入の取組み内容が、パシフックサプライ様の記事(Vol146)に紹介されています。

2011年10月28日に熊本県にて開催されます「リハビリテーション・ケア合同研究大会 くまもと 2011」のランチョンセミナーで、当法人の笠原PTが発表を行います。

  
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